その昔、営業会社にいたときに、伝説の営業マンと言われる人が沢山いて、皆さん口を揃えて言っていたのが「プッシュ営業はダメだ。プルに徹しないと！」

つまり、最初営業目的で所属した様々なコミュニティで、信頼関係ができていないうちから仕事の話をしたら「何だこいつは自分のことしか考えていないな・・・」と引かれてしまう。仕事の話はこちらからは一切しないで、相手から聞かれたら答えるくらいで留めておく 、それがプル営業の要諦だ。仕事の話は相手から聞かれるまでしないこと！と教わりました。

飲食業界から保険業界に転身し、現在12年目。 最初の3年間くらいは、収入が毎月固定で入ってくる保障のない、 先の見えない不安から「とにかくどうやったら売れるか？」ばかり考え、プッシュ営業ばかりの毎日でしたが、 お客様を結果的には不幸にしていることが分かってからは、プッシュ営業が逆に苦手になっていきました。

最初、営業目的で所属したコミュニティーも、所属している方たちに商品の販売をしようという考え方から、 そのコミュニティーで将来につながる知識、人脈、引き出し、人間力を身に着けよう、または、 人生において「かくありたい」と思う人や、様々な考え方や判断基準を学ぼうという考え方に変わっていきました。 いつの間にか、「聞く」ことは得意でも、自分の仕事の話をすることは苦手というか自然に避けるようになっている自分がいました。

ところが最近、3人の先輩に続けて、「もっと仕事の話をしたほうが良いよ！」とご指摘いただきました。 「君の専門の中で我々にとって役に立つ情報を教えて欲しい」とのことでした。 鈍器で頭を殴られたような衝撃を受けました。「俺は何をしていたんだ・・・」と。 目の前の大切な人に役に立つ情報を伝えられなくて、何がファイナンシャルプランナーだと。

今は亡き、前職で優績ナンバー１の方（行き急がれたのか確か42歳でお亡くなりになりました）が仰っていました。 「僕は、生命保険を心から必要だと思っているので、初対面の方にも商品のおすすめができるのです。」

私は、「嫌がられないようにスマートに」と自尊心が傷つかないように自己の保身に走ってしまい、 目の前の本当に大切な人に、役に立つ（幸せにさせる）情報をお伝えしていなかったわけです。 非常に反省した出来事でした。